帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスが再び活動して引き起こされる症状です。このウイルスは名前の通りに水ぼうそう(水痘)を引き起すウイルスでもあります。子供の頃に水ぼうそうにかかってもほとんどは数日経過すると体内でウイルスに対する免疫ができてウイルスが抑えられます。この免疫反応のおかげで発熱や水疱などの症状が治ります。しかし、ウイルスは完全には駆逐されずに一部は体内の神経節に潜伏します。普段は体の免疫によってウイルスの活動は抑えられていますが、加齢やストレス、疲労、感染症、生活習慣病などで体の免疫力が低下すると再び活動を始めて、ピリピリとした痛み・発疹を伴う帯状疱疹の症状が引き起こされます。
四谷怪談のお岩さんは夫に顔のただれる毒を盛られた後に悶え苦しみ酷い顔になって発狂してしまい悲しい結末を迎えた人物ですが、実は毒によるものではなく帯状疱疹を発症して悲惨な状態になったのではないかという説があります。具体的には、こめかみあたりにある三叉神経に潜伏していたウイルスが再び活動して帯状疱疹が出現し、それが重症化してしまったのではないかという分析です。帯状疱疹は少し発症するだけでもピリピリとした痛みが伴います。お岩さんくらいの酷い状態でしたら、想像を絶する痛みが出ていたことでしょう。帯状疱疹を放置すると良くなった後でも神経痛が残ることが多く、仮にお岩さんを治療できたとしても、後遺症の神経痛に苦しんだことでしょう。
物語の舞台である元禄時代では水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス薬はありませんでしたが、現代ではお薬があります。神経痛の後遺症を残さないためにも帯状疱疹は早期に治療することが大切です。我慢して放置せず、おかしいなと思ったらなるべく早めに受診しましょう。
それでは、お大事に