よく患者さんから「このお薬は冷蔵庫に入れたほうが良いですか?」と質問されることがあります。お薬を冷蔵庫で保管するものと考える方は少なくないようです。確かに冷蔵庫で保管すべきお薬はありますが、多くはありません。冷蔵庫から出し入れする際に温度変化により湿気を吸って使えない状態になってしまう場合もあります。では、お薬はどのような状態で保管しなければならないでしょうか。
お薬の種類にもよりますが基本的に、高温・多湿・直射日光を避けて室温で保管することが一般的です。医薬品の保管における室温とは1~30℃のことを指します。そのお薬の適切な保管方法を守ることによって、使用期限内のお薬の効果が保証されます。
では、目薬を例にしてみたいと思います。よく目薬は冷蔵庫に入れるものと考えられますが、一般的な目薬は室温保存のものが多いです。室温保存の目薬を冷蔵庫で保管することは問題ないことが多いのですが、室温保存の目薬でも冷蔵庫で保管することによって結晶ができて使用できなくなるものもあるので注意が必要です。また冷所保存(1~15℃ 2~8℃等)の目薬も当然ありますから、その場合は冷蔵庫で保管しましょう。ただしチルド室やパーシャル室等では凍結する場合があるので注意が必要です。他にも光に弱い目薬もあります。その場合、使用していない目薬は遮光袋に入れて保管しましょう。
また糖尿病治療薬のインスリン等の注射剤は、使用開始前では冷所保存、使用開始後は室温保存(冷蔵庫の保管不可)と保管方法が途中から変更になるものもあります。
それぞれお薬の保管方法は理由があって決められています。お薬は適切に保管することでその効果を発揮します。同じお薬を使うにしても不適切な保管方法では、治療効果が期待できなくなります。もし、お薬の保管等で困った場合は気軽に薬剤師に相談してください。
それではお大事に