昨年、厚生労働省から「風疹急増に関する緊急情報」が発表されるなど風疹が再び流行しています。風疹とはどのような病気なのでしょうか?風疹は風疹ウイルスに感染して体内でウイルスが増殖することで発症する感染症です。症状が出ないケースもありますが、多くに発熱や発疹、リンパ節腫脹などが現れます。風疹の感染力はインフルエンザの2~4倍あるとされており、感染しても治療薬が無いため熱を下げるなど症状を和らげる対症療法しかありません。また妊娠初期20週頃までの妊婦が感染すると胎児にも感染して難聴・心疾患・白内障・精神や身体の発達の遅れなどの障害がある赤ちゃんが産まれる可能性があります。これらの障害は先天性風疹症候群と呼ばれ、特に妊娠初期の12週までに感染するとその可能性が高くなることが報告されています。
ではどのように防げばよいのでしょうか?唯一の方法はワクチン接種を受けることです。風疹に感染した人の多くは、過去に風疹ウイルスに感染した経験が無く、ワクチン接種も受けていない成人です。男性の割合が多く女性の約3.5倍との報告があります。男性の中でも30~50代が中心であり、その背景にはワクチン接種制度が無かった世代であったか、学校での集団接種ではなく個別に病院に行ってワクチン接種を受ける必要があったためワクチン接種率が低い世代であることが挙げられます。よって先天性風疹症候群を防ぐためには妊娠前の女性だけではなく、男性もワクチン接種をする必要があります。このため、厚生労働省は2019~2021年度末の約3年間にかけて、風疹の定期接種を受ける機会がなかった昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性を対象に風疹の抗体検査を行った上でワクチン接種を行うことを発表しました。他にも一定の条件はありますが、大分市をはじめ、妊娠を希望する女性と配偶者に対して風疹の抗体検査・ワクチン接種の助成を行っている自治体も多くあります。希望する方は各自治体にお問い合わせください。
風疹はワクチン接種で防げる感染症です。感染拡大を防ぐ為にも対象となる方は抗体検査を受け、必要な場合はワクチンの接種をしましょう。そして周りに対象者がいる場合は、抗体検査・ワクチン接種を促しましょう。それではお大事に。