薬は水で飲んでください。ごくごく当たり前のことですが、ついついその辺にある飲み物で飲んでしまったり、水が手元になければ水なしで口に入れてしまった、そんなことが身に覚えのある方は多いのではないでしょうか。
薬は基本的に化学物質であり、飲み物に含まれるその他の物質と影響する可能性があります。代表的な例としては抗生剤の一部や骨粗鬆症の薬とカルシウムや鉄分などのミネラル分が化学的に結合を行うことでその化学構造が変わり、効果が弱くなってしまうことがあります。硬水と言われるミネラル分を多く含むミネラルウォーターでも影響することがありますので、そのような飲料での服薬も避けた方が良いでしょう。
炭酸のジュースなど、酸性の飲料や、アルカリ性に偏った飲料でも薬に影響することがあります。酸性やアルカリ性に偏った飲料では、薬剤が水に溶けにくくなって吸収されにくくなったり、胃酸の影響を受けず腸まで届かせるよう薬剤に施されたコーティングが早く溶けすぎたりします。また、小児の粉薬など苦みをコーティングによって飲みやすくしているものがはがれたりすることで飲みにくくなることがあります。
このような影響は時間をずらせば回避することは可能ですので、服薬する際の飲み物は薬との影響が最も少ないと考えられる「水(またはさ湯)」で行うのが良いでしょう。
飲み物の影響を考えるのは面倒だから水なしでよいのでは、と考える方もいるかもしれません。しかし、十分量の水(コップ1杯程度)で飲むことにも意味があります。これには、口の中や喉で薬が止まってしまったりすることを防ぐ働きがあります。薬の多くが小腸から吸収が行われるため、そこまで薬がきちんと送り届けられるようにする必要があるので十分量の液体と一緒に流し込む必要があります。水分制限が必要な場合や水なしで服薬を指示される例外的な薬はありますが、その際は指示に従ってください。
薬剤それぞれが様々な特性があり、飲み物など注意が必要な場合にはその時々に応じて私たち薬剤師も文書や口頭での説明によってお伝えしています。全ての薬が飲み物に注意が必要という事はありませんのであまり神経質になりすぎる必要はありませんが、そのままでは飲みにくい場合などは除いて、せっかく服薬した薬を最大限の効果を発揮させるために「十分量の水」で服薬していただくのが良いでしょう。
それではお大事に。