輔仁薬局

健康処方箋 column

湿布薬

author:輔仁薬局 日赤前店 薬剤師 後藤 順子
published in:大分合同新聞平成22年10月掲載  No.83

薬には、飲み薬だけでなく、塗布剤(塗り薬)、吸入剤、貼付剤(貼り薬)、点眼剤、坐剤といった皮膚や粘膜から吸収される外用薬があります。外用薬の中でもっとも一般に知られている薬に湿布薬が上げられます。湿布薬には成分や作用の違いから分けて、温感タイプの湿布薬、冷感タイプの湿布薬、経皮鎮痛消炎薬の3種類があります。

温感タイプの湿布薬は、患部を温めることにより血行を良くし、筋肉の緊張を和らげます。トウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドなどの成分が配合されていますが、これが皮膚に刺激を与えて温かく感じさせます。

冷感タイプの湿布薬は、メントールやハッカ油などの患部を冷やして腫れや痛みをとる成分が入っています。治療効果はどちらのタイプでも大差はありません。冷感タイプは打ち身やねん挫などの急性期の炎症性疾患に使われることが多く、温感タイプは肩こりや腰痛などの慢性期の炎症に使われることが多いようです。

経皮鎮痛消炎薬といわれる鎮痛薬入りの湿布薬は、種類もたくさんあり、今最も使われている外用薬と言えるでしょう。痛み止めの成分が皮膚から吸収されて効果を発揮します。皮膚からの吸収で内服薬とほぼ同等の効果があると言われています。飲み薬のように肝臓を通過しないため、消化管障害など全身の副作用が少ないという利点があります。仮に副作用が起きても、はがすだけで早急に対応することができますし、使用する大きさを変えることで薬の量もコントロールできます。

また、湿布薬を性状の違いで分けると、布製の生地の上に薬を塗布したパップ剤と、薄いテープ状のプラスター剤とさらに薄型のテープ剤があります。

【 湿布薬の正しい使い方 】

・汗や水分をよく拭き取ってから貼って下さい

・粘膜や傷口、湿疹のあるところには貼らないようにしてください

・長時間の貼りっぱなしは皮膚に負担がかかるので、早めにはがして皮膚を休めましょう

・貼りにくいところには2~3センチ切れ目を入れて伸ばしながら貼って下さい

湿布薬は市販薬も含めてたくさんの種類があります。それぞれの症状や貼る部位、好みに応じて正しく使いましょう。

それでは、お大事に。

 

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