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食中毒の予防

author:輔仁薬局 日赤前店 薬剤師 後藤 順子
published in:大分合同新聞平成22年6月掲載  No.80

食中毒とは、原因となる細菌やウイルスが付着した食品や、有害・有毒な物質が含まれた食品を食べることによって起こる健康被害を言います。湿度、温度ともに高くなる梅雨から夏にかけてのこの季節は、食中毒にかかりやすくなるので、正しい知識で予防しましょう。

食中毒は原因物質によって、サルモネラ菌やカンピロバクター、O-157などの細菌によるもの、ノロウイルスなどのウイルスによるもの、ヒ素やシアン化合物などの化学物質によるもの、ふぐや毒キノコなどの自然毒によるものに大別できます。この中で夏に多く見られるのが細菌性の食中毒です。細菌に汚染された食品が口から入っても、微量な場合はたいてい胃酸で死んでしまいますが、死なずに生き残った細菌が腸までたどり着いて増殖したり、毒素を出したりして食中毒を引き起こします。

症状としては吐き気や嘔吐、腹痛や下痢といった急性の胃腸障害が出ます。ほとんどは症状が軽くてすみますが、なかには重症になることもあるので油断は禁物です。とくに抵抗力の弱い子どもやお年寄りは重症化することがあるので注意してください。

食中毒予防の三原則は、細菌を「増やさない」「付けない」「殺菌する」ことです。

「増やさない」  新鮮な食品を購入する。冷蔵や冷凍が必要な食品は保冷して持ち帰り、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる。冷蔵庫を過信せずに早めに食べる。

「付けない」  食品に菌をつけないように手や調理器具はしっかりとまめに洗う。食品は包んで保存する。

「殺菌する」  食品内部まで十分加熱する。包丁やまな板などの調理器具、ふきんなどは熱湯や漂白剤で消毒する。

食中毒で発熱や嘔吐、下痢が続くと脱水になるので、十分な水分補給をしてください。下痢止めは細菌やウイルスを腸内に留めて、かえって症状を重くする場合があるので自己判断で飲まないようにしましょう。高熱、ショック症状、激しい下痢や血便など重篤な症状があればすぐに医療機関を受診してください。いずれにしても症状が重くなる前に早めに受診した方がよいです。私たちの生活空間には目には見えない無数の食中毒菌が潜伏しています。三原則を守って食中毒を予防しましょう。

それでは、お大事に。

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