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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん爪白癬(つめはくせん)

爪白癬(つめはくせん)

author:輔仁薬局日赤前店 薬剤師 後藤順子
published in:大分合同新聞平成22年2月掲載  No.76

「爪は健康のバロメーター」と言われるほど、身体の異常が爪に表れることがありますが、爪自体の病気で最も多いのは爪白癬(爪の水虫)です。水虫は真菌(カビ)の一種ですが、その菌が爪に入り込んだ爪白癬は、夏や冬といった季節に関係なく活動し、身近な人にうつしやすい感染症です。

爪白癬の初期には、痛みや痒みの自覚症状がないので気づきにくく、そのまま放置していると、爪の中で白癬菌が活発に繁殖します。爪が厚くなり、変形し、色が白く濁る、爪がもろく崩れやすくなるといった状態になり、さらに進行すると痛くて歩きにくくなる場合もあります。また、爪中の白癬菌により、足の水虫をも繰り返す原因になります。

水虫は、バスマットやスリッパを介して家族間で感染するケースが多いので、家族に水虫感染者がいる場合は、全員できちんと治療する必要があります。そうしないと、ずっと家族間感染が続いてしまいます。白癬菌は、足や爪のほか頭、股、腹など全身の皮膚や髪の毛にも広がることがありますので、これを防ぐ意味でも完治するまで治療をすることが大切です。

治療には、抗真菌薬の飲み薬を使います。塗り薬の場合には、薬が硬く厚い爪の中になかなか行き渡りません。しかし、飲み薬は体の内側から効果を発揮して菌を死滅させます。効果が出てくると、根元の部分から濁りのない綺麗な爪が伸びてきます。通常、新しい爪に生えかわるのに6カ月以上かかりますので、完治するのにも6カ月以上の期間を要します。

この飲み薬の注意点としては、胃部不快感、下痢、悪心などの胃腸症状の副作用や肝機能チェックのために定期的な血液検査が必要なことです。また、薬の飲み合わせにも注意が必要ですので、医師や薬剤師には必ず現在服用中の薬を伝えて下さい。

日常生活での注意点としては、毎日靴や靴下を履き替える、せっけんで足を指の間まで丁寧に洗ってきちんと拭きとり乾燥させるなど、靴の中が蒸れやすい寒い季節は特に清潔と乾燥を心がけましょう。爪が完全に生えかわり、見た目が綺麗になっても、まだ菌が残っている場合があります。自己判断で勝手に中止せず、根気よく治療を続けましょう。

それでは、お大事に。

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