輔仁薬局

健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん薬が止められなくなる?

薬が止められなくなる?

author:輔仁薬局本部 薬剤師 島田 静二
published in:大分合同新聞平成22年1月掲載  No.75

「血圧の薬は、いったん飲み始めたら止めることができないので飲みたくない」という方が時々おられます。どうも、高血圧の薬(降圧薬)に習慣性があるかのように勘違いされているようです。その誤解は、降圧薬が一般に長期間の服用が必要となることに起因しているのかもしれませんね。

しかし、ここで大事なことは、「血圧の薬が身体に悪く作用して、薬を止められなくなる」のではなく、「身体が薬を必要とする状態にあるので、薬を止められない」のだということです。なので、無理をして薬を飲まないように頑張るのは、望ましいことではありません。高血圧は血管に負担をかけ続け、脳卒中や心不全などのリスクが増すので、血圧を下げる必要があります。高血圧は長年続きますが、薬は飲んでいる間しか効果がなく、薬で血圧が下がっても、中断するとまた元に戻ってしまうので、飲み続けた方が良いのです。

しかし、降圧薬は一生飲み続けなければならない訳ではなく、場合によっては、薬を減らしたり、中止したりすることができます。そのためには、高血圧を治すための生活習慣の改善が大切になってきます。具体的には、肥満の解消、塩分やアルコールを控える、禁煙、適度の運動、充分な睡眠をとるなどを実行しましょう。ただし、高血圧が改善し、薬を止めることができたとしても、油断して生活習慣が元に戻ってしまうと、再び薬が必要になる場合があるので注意しましょう。また、最近の降圧薬は長く効果が続くので、効果度合いの判断が難しく、自己判断だけで服用を中止したり、服用量を変えたりしないようにしましょう。

高血圧の薬だけでなく、薬は、それぞれ意味があって処方されています。それでも、長く飲み続けていて気になる場合は、納得して治療を続けるためにも、かかりつけの医師や薬剤師に、薬を続ける意義を確認したり、止めることができないかなどについて相談してみてはいかがでしょう。

それでは、お大事に。

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