新たな国民病として注目されはじめている「慢性腎臓病(CKD)」をご存知ですか。
「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見がある。」あるいは「腎機能の低下を示す糸球体ろ過量が1分あたり60mL未満である。」が3ヶ月以上続く状態を慢性腎臓病と定義されています。
腎臓病は、病気がかなり進んでしまうまで自覚症状が現れないため、その状態を放置してしまいがちです。しかし、病気が進んで末期の腎不全になると、人工透析や腎移植が必要になってきます。ここで注目されているのは、慢性腎臓病があると心血管疾患の発症のリスクが高くなることがわかってきたことです。メタボリックシンドロームが心疾患を引き起こすことはよく知られていますが、慢性腎臓病も心筋梗塞や脳梗塞などをおこす危険性を高めます。そのため、透析のハイリスク群である慢性腎臓病への対策が必要とされるようになってきました。
現在、国内の透析患者数はすでに26万人を超えており、その数は毎年1万人ずつ増え続けています。さらには予備軍が400万人いると推定されています。
腎機能障害の比較的軽いうちから、適切な食事療法や生活習慣の改善、血圧管理を行っていれば腎不全の進行を食い止めることができます。慢性腎臓病の早期発見、早期治療が心血管疾患や透析患者の増加を抑えることができるのです。
高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、加齢などが慢性腎臓病の危険因子として知られています。そういった危険因子のある人、健康診断で蛋白尿や血尿が陽性であった場合はほっておかず、ぜひ専門医を受診しましょう。
それでは、お大事に。