日常生活では正常血圧なのに、診察室だと血圧が高くなることがあります。「白衣の人を見ると血圧が上がる」というところから、この状態を『白衣高血圧』と言います。これは、診察室での緊張や不安などが原因になっているだけで、実際には高血圧症ではないのです。その逆に『仮面高血圧』という状態があります。これは、「正常血圧という仮面をつけた高血圧」という意味で、普段は高血圧であっても診察室で測るときには正常になっているのです。実際には、夜中や早朝などに血圧が上がっていることが多く、脳心血管障害のリスクが高い病態とされています。
このように、診察室での血圧と平常時や一日を通した血圧とのズレが大きければ、白衣高血圧や仮面高血圧が疑われますが、もともと血圧は一日の内で大きく変動していますので、日中1回の血圧測定だけでは見逃す危険性があります。そうなると、治療が必要なのに治療されなかったり、その逆に、不必要な治療が行われたりする可能性があります。
そこで、自宅でも血圧測定を行い、より正確に現在の状態を知ることが大切です。正確に血圧を測定するためには、まずリラックスします。座って1~2分安静にしてから測りましょう。測定部分が心臓より低いと血圧は高めに、高いと血圧は低めに出る傾向があるので、同じ高さに合わせることも重要なポイントです。また、朝・夕の2回、測定条件をそろえるために、同じ時間帯で同じ行動パターンをして測りましょう。いろいろな血圧測定器がありますので、それぞれの使用法や注意事項をよく理解してから使いましょう。
診察時の変動が大きい方などでは、医師の指示で持続血圧モニタリング装置という装置を使って、24時間通した血圧の測定を行うこともあります。高血圧の場合、下げる目標となる血圧は、年齢や他の病気の有無やその状態などによって違う場合があります。指示された目標値と比べて、今の自分の状態をしっかり把握し、治療に役立てて下さい。
それではお大事に。