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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん鉄、足りてますか?(鉄欠乏性貧血)

鉄、足りてますか?(鉄欠乏性貧血)

author:こがづる調剤薬 局薬剤師 堤 喜代明
published in:大分合同新聞平成18年3月掲載  No.29

貧血とは赤血球やヘモグロビン量が減少した状態をいいます。ヘモグロビンは血色素ともいい、血液中の赤血球の中にあり、酸素を全身に運ぶという重要な役割を担っています。貧血になると、酸素の供給が不足して、疲労感、めまい、動悸、顔面蒼白などの症状が出てきます。

鉄はヘモグロビンの材料のひとつなので、鉄が不足すると十分にヘモグロビンが作れなくなります。これが鉄欠乏性貧血といわれるもので、貧血の大半を占めています。

鉄分不足の原因は、①鉄の摂取量が少ない、②鉄需要の増加(成長期や妊娠・授乳期)、③喪失量の増加(月経や消化管の潰瘍、子宮筋腫などの疾患等による出血)があります。

鉄を多く含む食品では動物性食品(レバー、赤身肉、魚など)には「ヘム鉄」、植物性食品(ひじき、ほうれん草、納豆など)には「非ヘム鉄」という少し構造の違う形で鉄が含まれています。ヘム鉄の方が吸収が良いのですが、動物性食品は脂質やコレステロールも多めに含んでいるので、両者をバランス良く摂るようにしましょう。

また、サプリメントを利用しても良いでしょう。ただし、鉄は摂りすぎると過剰症になることもあるので注意して下さい。ビタミンCは、鉄の酸化を抑え、吸収をよくする働きがあるので一緒に摂るようにすると効果的です。銅(ココアや牡蠣に多く含まれる)もヘモグロビン合成に重要な働きをしています。

食事で鉄分が補えないようなときには、鉄剤が使われます。薬剤中の鉄分が吸収されずにそのまま便に出てきてしまい、便が黒くなることがありますが心配いりません。また、鉄剤に含まれる鉄が他の薬と結合してしまい、相互に効果が弱くなることがあるので、鉄剤と他の薬を併用するときは、事前に医師または薬剤師に相談してください。

今回の話は鉄欠乏性貧血に限ったことです。貧血の背景には様々な病気が潜んでいることもあります。安易に自己判断しないで、医療機関できちんと調べてもらいましょう。

それでは、お大事に。

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