健康診断などで、血圧や血糖が「やや高め」と言われたことはありませんか? 少し高い程度では気にしない人が多いかもしれませんが、内臓脂肪型肥満の人ではこうした「やや高め」が重なることで動脈硬化による心臓病の危険性が急激に高まることがわかっています。このような状態を「メタボリックシンドローム(複合生活習慣病)」といいます。
日本内科学会など8学会の委員で構成される「メタボリックシンドローム診断基準検討委員会」がまとめた診断基準によると、おへそ周りの腹囲が男性85 cm以上、女性90cm以上ある内臓脂肪型肥満の方で、
①高脂血症:150mg/dL以上の中性脂肪、40mg/dL未満の低HDLコレステロール血症のいずれか又は両方
②高血圧:130mmHg以上の収縮期血圧、85mmHg以上の拡張期血圧のいずれか又は両方
③糖尿病:110mg/dL以上の空腹時血糖
この3つの危険因子のうち、2つ以上の危険因子を有する場合に、メタボリックシンドロームと診断されます。
治療は病気の程度にもよりますが、まず生活習慣の改善が行われます。危険因子を複数持っている人は単独の危険因子を持っている人よりも検査値の目標はやや低めに設定されます。生活習慣の改善をしても検査値がよくならない、または生活習慣の改善が進まない場合などには薬物治療が検討されます。
危険因子を持たない人に比べ、危険因子をひとつ持つ人は心臓病の発症リスクが5倍、ふたつ持つ人は10倍、3~4つ併せ持つ人では31倍にもなることがわかっています。数値が高い危険因子を単独で持つよりも、たとえ軽症であっても危険因子が複数重なるほうが危険な場合も少なくありません。検査値が少し高いだけだからと安心せずに積極的に生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。
それでは、お大事に。