輔仁薬局

健康処方箋 column

白内障

author:こがづる調剤薬局 薬剤師 堤 喜代明
published in:大分合同新聞平成17年3月掲載  No.17

白内障は、目の中でレンズの働きをしている水晶体が濁ってしまう病気です。そのため、目に入ってきた光がうまく網膜(スクリーンのような働きをします。)に到達できなくなったり、光が目の中で乱反射して見えにくくなってしまいます。このことにより、物がかすんで見えたり、ゆるやかに視力が低下するなどの白内障の典型的な自覚症状が現れます。この他にも、「まぶしさ」や「ものが二重に見える」などの症状が現れることもあります。

白内障の多くは加齢が原因で起こる「加齢性白内障」です。高齢になると水晶体が濁るのは一種の老化現象で、程度の差はあれ誰にでも起こりうることです。濁りの出方には個人差がありますが、一度濁ってしまうと自然に回復することはなく、加齢に伴って徐々に進行していきます。75歳以上では70%程度の方が白内障を持っていると言われています。また、「糖尿病」や「アトピー性皮膚炎」を持っている方では比較的若いうちに起こることがあります。

白内障の薬物療法としては、水晶体が濁っていく過程を遅くする薬剤が用いられます。おもに点眼薬が用いられますが、内服薬で治療が行われることもあります。しかし、これらの薬はいったん濁った水晶体を元に戻す働きはなく、あくまでも進行を遅くするものです。

白内障になってしまった場合、根本的に治療をするには、現在のところ、手術をするしかありません。最近では、眼内レンズの素材の進歩や手術の技術の向上によって、以前より簡単で安全性も高くなってきています。ただし、白内障は命にかかわる病気というものではなく、早くしないと手遅れになるというものでもないので、いつ手術をするか、その必要性があるかどうかは、どれだけ生活に支障が出てきているかなども考慮して、医師とじっくり相談のうえで決めるとよいでしょう。

それではお大事に。

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