「ピロリ菌」は、胃の粘膜に住みつく細菌で、日本では約6000万人が感染していると言われています。10歳以下で約10人に1人、20歳代では約5人に1人と若い世代の感染率は比較的低く、40歳代以上では半数以上の人が感染していることがわかっています。(40歳代以上では、乳幼児期に衛生状態が悪かったため、感染率が高いと言われています。)
ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が出すアンモニアや毒素によって、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。これにストレスなどの他の要素が加わって胃潰瘍を起こします。ピロリ菌感染者は、十二指腸潰瘍も起こしやすいと言われています。胃・十二指腸潰瘍は再発しやすい病気ですが、ピロリ菌を除菌すると、再発率は約10%まで下がります。また、ピロリ菌は、胃ガン発生のリスクを高めるとも言われています。
ピロリ菌の検査法には、内視鏡で胃の組織の一部を採取する方法や血液や尿を調べる方法などいろいろなものがあります。その内、最も簡単な方法としては、「尿素呼気試験」というものがあります。これは、尿素を含む検査薬を飲み、20分後に吐いた息を採取して、それを検査薬を飲む前の息と比較することによって診断するものです。
胃の中に住みついたピロリ菌を取り除く「除菌療法」では、抗菌薬を2種類、胃酸の分泌を抑える薬を1種類の計3種類を1週間内服します。処方通りに薬を服用していなかった場合、除菌ができないばかりか、ピロリ菌が抗菌薬に対して抵抗力を持ち、再度除菌療法を行おうとした時に、抗菌薬が効かなくなることがあります。よって、除菌中は、必ず最後まで薬を服用するようにしてください。
それでは、お大事に。