食中毒といえば、じめじめした梅雨時期のイメージがありませんか?しかし食中毒が一番多いのは冬なのです。今回は冬の食中毒について説明しようと思います。
冬の食中毒は梅雨時期に多い細菌性食中毒と違い、ウイルスが原因のことが多いです。特に多いのが、皆さんもよく耳にするノロウイルスです。ノロウイルスの感染経路には経口感染があります。汚染されている食品を生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合等に感染します。また感染者が排便後に十分手を洗わずに触れたトイレのドアノブなどを介して起こる接触感染もあります。そして感染者のおう吐物が飛散したものからの飛沫感染もしますし、また比較的狭い空間では空気感染することもあります。このようにノロウイルスが大量に含まれる排泄物などを介して二次感染する場合があるので、処理方法も気を付けなければいけません。
一般的な感染予防としてアルコール消毒がありますが、ノロウイルスは消毒用エタノールでは失活しません。失活させるには次亜塩素酸ナトリウムで消毒するか、加熱処理を行います。次亜塩素酸ナトリウムは、家庭にある塩素系漂白剤にも含まれています。また接触感染等を防ぐために石けんによる手洗いも効果的です。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
治療に関してはノロウイルスに対する効果的なお薬はありません。そのため、対症療法が基本となります。但し下痢をしているからといって下痢止めを使用すると、ウイルスが体内にとどまってしまい病気の回復を遅らせてしまうため、自己判断で使用しないようにしましょう。体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりすることによって重症化することもあるので、水分と栄養の補給を十分に行いましょう。また食事がとれなかったり、水分補給しても吐いてしまったりする場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
それではお大事に。