耳鳴りは、周囲に音源がないのに、「キーン」「ジーン」「ゴー」「ザー」などの雑音が耳や頭の中で鳴っている状態をいいます。
周りが騒がしいときはあまり気にならないものですが、就寝時のような静かな場所で、より大きく聞こえるようになると、これが苦痛で眠れなくなる場合が生じます。その結果、睡眠不足が重なり、ますます「不安」「不快」「焦り」といった感情と耳鳴りとが結びつき、次第に増幅して、静かな場所に限らず絶えず耳鳴りに悩まされるような状況となります。
耳鳴りは、多くの場合、難聴も伴っています。難聴には、突発性難聴、老人性難聴、メニエール病、急性低音障害型感音難聴、騒音性難聴などがあります。また、まれに高血圧や糖尿病などに付随して耳鳴りがしたり、脳血管の異常、脳腫瘍、聴神経腫瘍など頭の中や聴覚系に異常が生じた場合に耳鳴りがすることがあります。過度のストレスやうつで起こることもあります。
耳鳴りの薬物療法としては、循環改善剤、ビタミン剤、漢方薬、ステロイド剤などを服用します。人によっては不安感を抑える薬や、うつ傾向を改善する薬が効果的なこともあります。他に、局所麻酔薬を中耳内に直接注入する方法、補聴器の装用、雑音で耳鳴りを消すマスカー療法、自律訓練法などのリラックス療法などがあります。
最近注目されている治療法として、耳鳴りを消失させるのではなく、耳鳴りに順応させ、耳鳴りの苦痛度を軽減させることを目的としたＴＲＴ療法というものがあります。いずれにしても、まずは医師の診察が必要です。もし、耳鳴りや頭鳴りを自覚した場合には、早めに耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
それでは、お大事に。