輔仁薬局

健康処方箋 column

乗物酔い

author:こがづる調剤薬局 薬剤師 堤 喜代明
published in:大分合同新聞平成20年7月掲載  No.57

夏休みになると、旅行など乗物に乗る機会が多くなるでしょう。しかし、せっかくのドライブや旅行も乗物酔いになると非常に不快なものになってしまいます。

乗物酔いの原因は、乗物に乗って体が不安定な状態になると、視覚と平衡感覚のずれが生じ、体は不快さを感じます。すると自律神経が刺激され、働きに乱れが生じます。自律神経は胃や心臓などの臓器の動きや発汗などを支配しているので、その乱れによって胃の不快感などの乗物酔いの症状が出るのです。子供では乗物の揺れに対して慣れていないなどがあり、大人より酔いやすい傾向にあります。

対策としては、前日には睡眠をよく取り、乗物に乗る前に消化の良くない食事を避ける。事前に酔い止めを服用し、換気を良くしてできるだけゆれの少ない席に座る。車外のあまり動きのない遠くの景色をみるなどして手元に集中したりしない。人と話すなど楽しく過ごして意識を他に向けるようにする、などを心がけると良いでしょう。

乗物酔いの薬としては、鎮静効果やめまい・吐き気防止効果のある抗ヒスタミン薬が主に使われます。これは眠気や喉の渇きなどの副作用が起こることがあります。市販の薬ではその他に吐き気止めやビタミンなど複数の成分が配合されています。水なしで飲めるチュアブル錠や液剤などもあります。眠くなりにくいものが良い場合は、眠気防止の効果がある「カフェイン」配合のものや、眠気の少ない抗めまい成分を主成分とするものを選ぶと良いでしょう。乗物酔いの薬を服用するタイミングは乗物に乗る30分から1時間位前が良いでしょう。商品によっては酔ってから服用しても症状の緩和作用がある成分を含むものもあります。また、大人用の薬には小児は服用できない成分が含まれている場合もあるので、用法・用量や対象年齢を事前によく確認してから服用するようにして下さい。

乗物酔いは「酔うかもしれない」という精神的なものによる部分も多いので、しっかり対策をして自分は酔わないという自信をもつようにすることも大切です。

それではお大事に。

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