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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん腰痛と痛み止め

腰痛と痛み止め

author:輔仁薬局津留店 薬剤師 鳥山 純司
published in:大分合同新聞令和6年8月掲載  No.166

2022年の国民生活基礎調査における世帯員の健康状況によると、男女ともに「腰痛」での有訴者率(病気やけが等で自覚症状のある者)が最も高くなっています。多くの方が抱える悩みを緩和するために使用する医薬品が痛み止めです。

腰痛で使用する痛み止めには、皆さんが思い浮かべる消炎鎮痛剤の他に、神経障害性疼痛治療剤、がん性疼痛にも使用されるオピオイド鎮痛薬等があります。また一部の抗うつ薬を使用する場合もあります。

痛みは、体が傷つくことによって起こる痛みと、神経が傷つくことによる痛みに大きく分けられます。このように分類すると、炎症性痛(体が傷つき炎症を起こしている)には消炎鎮痛剤が、神経痛には神経障害性疼痛治療剤が効果的と考えられます。このことは腰痛診療ガイドライン2019にも記載されています。急性腰痛(発症から4週間以内)、慢性腰痛(3ヶ月以上継続する腰痛)、坐骨神経痛を伴う腰痛の3種類それぞれで、どの痛み止めが効果的か書かれており、例えば坐骨神経痛を伴う腰痛の場合には、消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療剤等が効果的だとされています。

痛みの治療はこう書くと単純ですが、患者さんから痛みがとり切れないと言われることがあります。痛みには複数の原因が複雑に関係していることが多く、また前述のように分類されない痛みもあるため、痛み止めの選択が困難な場合もあるのです。また長期間の使用や過剰摂取は、副作用を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。

痛みは、痛みを感じている本人にしか分からない症状です。今のところ機械で数値化することもできません。あなたの痛みを知るために、医療スタッフとよく話すことがとても重要です。なかなか伝わらないと億劫にならず、まずはあなたの痛みを伝えてください。
それではお大事に

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