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健康処方箋 column

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漢方薬について

author:こがづる調剤薬局 薬剤師 藤原総司
published in:大分合同新聞平成27年2月掲載  No.109

漢方薬とは2種類以上の生薬を一定の割合で混合したものをいいます。生薬とは動物、植物、鉱物などの自然物を、薬を利用するために簡単な加工を施したものになります。その中に食用として利用されているものも多く、生薬単体では穏やかな作用しかもっていないものが殆どですが、その組み合わせによって非常に良い効果を示します。効果のある1種類の成分を取り出して薬用にしている西洋医学の薬と考え方が異なります。

生薬それぞれの中にも様々な成分が含まれています。それらの成分は組み合わせることで作用を強めあったり、副作用を打ち消したりなど、生薬の複数の組み合わせにより様々な漢方薬を作りだす事が可能です。漢方薬のすべての成分の作用が科学的に実証されているわけではありませんが、漢方薬の千年以上の長い歴史の中で、幾通りもの組み合わせが試され、その経験則によってより良い作用を持つ組み合わせや副作用の起こりにくい組み合わせが現代まで生き続けているのです。

一つ一つの成分の作用が穏やかでも、その組み合わせによって非常に良い効果が出る例として、小児のひきつけ、ヒステリー様症状に用いる甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)があります。これは甘草、小麦、大棗(おおなつめ)の3種類の生薬で構成されている簡単な漢方薬なのです。甘草、小麦は食用など日常的に用いられており、大棗(おおなつめ)は菓子材料などに用いられたりしています。これらの食材を食用として用いてもなんの薬効らしきものは示しませんが、これらを少量ずつ組み合わせて煎じて服用すると不思議なことに西洋医学でも治療が難しいと言われているような小児のひきつけやヒステリー様症状も改善するようになります。このように漢方薬の原料となる生薬は私たちがいつも食事として摂っている身近な食材にも数多く含まれているのです。

漢方薬は漢方医学の長い歴史の中で培われてきた言わば先人の残してくれた宝物でもあります。漢方薬だからあまり効果がなさそうといったイメージは大きな間違いで今や数多くの漢方薬が医療の現場で活躍しているのです。

それではお大事に。

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