一般に、病院を受診して医師や歯科医師に処方してもらう薬を「医療用医薬品」といいます。それ以外に薬局やドラッグストアなどで、処方せんがなくても自分で選んで買うことができる市販薬のことを「OTC医薬品」といいます。OTCとは英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに薬を販売する形に由来しています。テレビのコマーシャルで放映されている薬はこの部類に入ります。
OTC医薬品は、副作用が少なく、より多くの方に広く効果があるように作られているので、だれでも安心して使えるように効き目が弱くなっています。しかし、最近は、医師の診断がなければ使用できなかった薬を薬局で買えるように許可されたものが増えてきています。これは、医療薬から市販薬(OTC薬)にスイッチされたということから「スイッチOTC薬」と呼ばれています。スイッチOTC薬は、医療用でのみ使用が認められている成分のなかで、使用実績があり、比較的副作用が少なく、安全性の高い成分を配合したものなので、一般のOTC薬より効き目も強くなります。解熱鎮痛薬や胃腸薬、水虫の薬、最近では花粉症用の抗アレルギー剤もスイッチされました。今後もスイッチOTC薬はさらに増えていくことが予想され、病気の予防や生活の質の向上など、幅広い役目を果たすことが期待されています。
ただ、病院へ行かずに、診察した時と同じ薬が買えるという便利さの一方、正しく使用しないと副作用が出たり、他の薬との飲み合わせが悪かったりする場合もあります。購入する場合は必ず薬剤師に相談してください。過去の副作用歴や、アレルギーの有無、服用中の薬やサプリメントとの飲み合わせもぜひチェックしてもらいましょう。お薬手帳を持って行くと役に立ちます。そして、説明書を読んで、必ず定められた用法、用量を守るようにして下さい。
自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることをセルフメディケーションといいます。セルフメディケーションの観点からはOTC医薬品を上手に利用することは大切ですが、間違った自己判断はたいへん危険です。症状が全く改善しない、逆に悪くなった場合は自己判断せず、早めに病院の診断を受けるようにして下さい。
それでは、お大事に。